舌下免疫療法は、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を含む錠剤を舌の下で溶かして飲みこみ、少しずつ体内に吸収させることで、スギ花粉、ダニのアレルギー反応を弱めていく治療法です。
この治療を長期にわたり、正しく治療が行われると、アレルギー症状を治したり、長期にわたり症状をおさえる効果が期待できます。
舌下免疫療法のメリット
注射による免疫療法もありますが、患者様にとって「痛み」「頻回の通院」が大きな負担になっていました。
舌下免疫療法は「痛みなく」「自宅で」服用できるなど、負担が少なく治療ができるメリットがあります。
舌下免疫療法の注意点
十分な効果が出るまで、最低2年程度(3年以上かかることもあります)、毎日服用する必要があります。即効性を期待して行うものではありません。
全体的に7~8割の方にある程度の効果を認めます(全ての患者に効果が期待できる訳ではありません)。
期待できる効果
- 鼻水、鼻づまり、くしゃみの改善
- 目のかゆみの改善
- アレルギー治療薬の減量
対象となる方
- 5歳以上、65歳未満の方
- スギ花粉症、またはダニアレルギーの方
- 用法・用量を守り、毎日服用可能な方
- 少なくとも1か月に1度、受診が可能な方
治療対象外となる方
下記の方は治療対象外になりますのでご了承ください。
- 5歳未満のお子様
- 65歳以上の方
- 妊娠中または授乳中の方、2~3年以内に妊娠希望の方
- 重症の口腔アレルギーの方
- 抜歯後などの口腔内の術後、傷や炎症などがある方
- 重症の気管支喘息の方
- ステロイドや抗がん剤、β阻害薬(高血圧の薬)など特定の薬を使用されている方
(上記の他にも、適応できないケースもありますので、当院医師とよくご相談ください)
副作用について
主な副作用として、口の中の腫れ・不快感、のどの刺激感・不快感、耳のかゆみなどの症状が出ることがあります。
アナフィラキシーショック症状について
重症の副作用(アナフィラキシーショック症状※)の可能性。
医薬品などに対する急性の過敏反応により、医薬品投与後多くの場合30分以内で、蕁麻疹などの皮膚症状や、腹痛や嘔吐などの消化器症状、息苦しさなどの呼吸器症状、突然のショック症状(蒼白、意識の混濁など)がみられる。
治療費について
健康保険が適応されます(以下の診療費は3割負担を想定しています)。
スギ花粉症・ダニアレルギーとも同様 | 初診:1,000~1,200円 再診:600円~700円 |
---|
このほかに、薬局でのお薬代がかかります。(必要に応じて採血などの検査料が加わることがあります)
その他注意点
治療開始前の検査など1年に1~2回の検査が必要となります。
スギ花粉以外の原因による花粉症の方には、効果が期待できません(シダキュア)。
スギ花粉が飛散している時期は、新たにシダキュアによる治療を開始することはできません。
すでにシダキュアによる治療を開始している方がスギ花粉飛散時期に舌下内服することはできます(副作用の注意は必要です)。
ダニアレルギーの舌下免疫療法はいつでも開始が可能です(ミティキュア)。
治療の流れ
① 問診・検査
治療のため、スギ花粉症、またはダニアレルギーと診断する事が必要です。
治療の対象となるかどうか、問診・血液検査等で判断させていただきます(血液検査の結果は1週間ほどかかります)。
他院で最近2年以内に行ったアレルギー検査の結果をお持ちいただいても大丈夫です。
② 治療説明・同意書記入
治療対象であるとなった場合、治療スケジュール・服用方法・起こりうる副作用を説明し、その上で治療を受ける意思を確認します(インフォームドコンセント)。
意思が確認できましたら同意書にご記入をお願いします。
③ 投与開始
初回は、クリニックで投与します(シダキュア:2,000JAU、ミティキュア:3,300JAU)。
投与した後は、30分間副作用が生じないか、クリニック内で様子を見ます。
大きな問題がなければ、翌日からは毎日自宅で服用し、1週間後受診していただきます。
④ 容量増加(投与1週間後)
投与開始から1週間後にご来院いただきます。
来院時に患者さんの体調や投与部位の状態、副作用発現の有無などを確認し、このまま治療を続けても良いかどうかを判断します。
問題がなければ、薬の容量を増やして(シダキュア:5,000JAU、ミティキュア:10,000JAU)処方します。
その後、月1回通院していただきます。
⑤ 維持期(月1回通院)
来院時に患者さんの体調や投与部位の状態、副作用発現の有無などを確認し、必要に応じてアレルギー治療薬にて、症状軽減を図ることがあります。
約2年間継続していただき、効果のある方には更に1~2年継続することをおすすめします。
効果のない方は舌下免疫療法に合わないと考え、 治療を終了させていただきます。